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政府は3割を占める民生分野の省エネにZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及に乗り出し、2030年までに新築住宅の平均にZEHを普及させるロードマップを取りまとめた。

1.ZEH普及の必要性
日本の省エネルギー政策は、1970年代のオイルショックを契機としています。オイルショック後、省エネルギー技術の開発・普及により、日本のGDP当たりのエネルギー消費量は世界的にみても極めて少ないレベルとなっています。しかしながら、その内訳をみますと、最終エネルギー消費量の約3割を占める家庭・業務部門(民生部門)の増加量は、他部門と比べても顕著となっています。この民生部門のエネルギー消費量の伸びを抑制し、かつ生活環境の向上を可能にする住宅として、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が注目されています。
政府では、エネルギー基本計画において、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現することを目指しています。

2.ZEHロードマップの検討
エネルギー基本計画における目標を達成するために、政府、業界関係者が何を行うべきなのか、課題とそれに対する対策をまとめることを目的として、昨年4月から経済産業省、国土交通省、環境省等の関係省庁、学識経験者、関係業界が集まり「ZEHロードマップ検討委員会」を立ち上げ、検討を行いました。
検討委員会では、大きく2つの内容を検討しました。1つはZEHの定義、もう1つはZEHの普及策です。

2.1.ZEHの定義
ZEHについては、エネルギー基本計画等で「年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロまたは概ねゼロとなる住宅」とされていますが、具体的な定義は定められていませんでした。例えば、一次エネルギー消費量がゼロというのは住宅の設計段階の議論なのか、実際に住んだ後の運用段階の議論なのか、またエネルギー計算をどのように行うか等については統一された考え方はありませんでした。
そこで、検討委員会ではZEHのあり方として「居住者が我慢をせず快適に、かつ、長期的にゼロエネルギーを達成し、エネルギー自立を目指す」ことを念頭に、①断熱性能、②省エネルギー性能、③太陽光等の創エネルギーの考え方、を整理しました。(図1)

図1:ZEHの定義

図1:ZEHの定義


2.2.ZEHの普及策

ZEHの普及に際しての課題は大きく2つあります。1つは「一般消費者への認知」、もう1つは「ZEH化のためのコスト増」です。これらの課題に解決するための方策としては、①ZEHの認知度向上・ブランド化、②ZEHの低価格化のための補助制度、等を挙げています。しかしながら、補助金の規模にも限りがある以上、補助金のみに頼った状態ではZEHの普及は限定的になります。また、補助金の公募が終わると同時にZEHの認知度が急減してしまうことは問題です。したがって、補助金がない状態でもZEHが自立的に普及することが重要であり、補助制度はその状況を支援する形であるべきとの結論になっています。(図2)

図2:ZEHの普及策

図2:ZEHの普及策


3.ZEHロードマップを受けて

ZEHロードマップは、パブリックコメント及び経済産業省の審議会である省エネルギー小委員会の審議を経て、12月17日に公表されました。また、ZEHロードマップを踏まえて、平成28年度当初予算案として「住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業」が計上されています。予算案が国会で可決・成立されましたら、ZEHロードマップに従って補助制度を運用することを予定しています。(図3)

図3:ZEH導入促進事

図3:ZEH導入促進事

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