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ネグラサリ・マルティニ氏

ネグラサリ・マルティニ氏

アジア最大の製紙会社、APP
森林保護と紙パルプ事業の持続可能なビジネスモデルに取り組む

インドネシアにあるアジア最大の製紙会社、アジア・パルプ&ペーパー(APP=テグー・ガンダ・ウイジャヤ会長)は、森林保護と持続可能なビジネスモデルの構築を目指し、2012年『持続可能性ロードマップ ビジョン2020』を発表。2013年2月に①自然林伐採ゼロ、②温室効果ガス排出削減、③地域コミュニティの権利の尊重、④第三者原料供給会社の責任ある森林管理実施 を核とする『森林保護方針(FCP)』を発表し、「自然林伐採の即時停止」を誓約した。そして、2016年2月、APPはFCP発表から3年目を迎え、このほどジャカルタで『泥炭地ベストプラクティス管理プロジェクト(PBPMP)』の進捗を発表した。
同社コンセッション内には森林火災の延焼とも関わる泥炭地があるため、PBPMPに取り組み、3500を超える水路の堰き止めが完了した。
これは泥炭地の水位を上げ、森林火災の延焼を防ぐ取り組みであり、今年度上半期までに合計7000カ所の貯水池を建設する予定だ。実はインドネシア・リアウ州などでは昨年来、森林火災が発生し、過去最大の煙害(ヘイズ)をもたらした。同社はインドネシア国内において110万ヘクタール(東京都の面積の約5倍)の植林地を管理しているが、1996年以来、植林開発の際に火を使用することは厳しく禁じており、「自然林からの自然発火の可能性が高い」(ネグラサリ・マルティニ氏・同社持続可能性/ステークホルダー広報担当)としており、現在、森林火災防止の更なる強化にも取り組んでいる。 APPでは、FCPが目指す森林保護や地域コミュニティの活性化の実現に向け、「総合火災管理戦略(IFM)」、「総合森林農業システム」、また、100万ヘクタールの熱帯雨林保護・再生支援のための「ベランターラ基金」設立などを通じ、順次進めていく。そして、林業と紙パルプ事業の持続可能なビジネスモデルの構築に向け、努力していくとしている。
先進国ではITの進展により、紙の需要は減少しているが、今後新興国の発展により世界需要は増える方向にある。「先進国向けでは紙オムツや包装資材向けには世界などに注力していく方針」(同)だそうだ。
インドネシアと中国に年間約2000万トンの生産能力のある紙・パルプ工場を持つAPPの強味は、紙の原料となる木材資源を、自然林を切ることなく自社の植林木で調達できるというスケールと、原料調達の透明性にある。そして、秋には世界最大級の最新鋭機械を導入した新工場をオープンさせると聞く。FCPへの真摯な取り組み、生産能力をから見ても今後の世界の紙市場で存在感を増していくことは間違いない。

2015年2月「持続可能な綜合森林管理計画」

2015年2月「持続可能な綜合森林管理計画」

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