政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


「書く」と「描く」の違い

木内里美(株式会社オラン代表取締役)

価値創造に必要な「描く」
「かく」という漢字を書いてくださいと言われた時、あなたはすぐに「書く」を思い浮かべますか? それとも「描く」思い浮かべますか?
この違いは実は大きい。どちらも思いや考えなどを表現する手段であるが、書くと描くでは表現が異なる。わかりやすく言えば、書くは文字や文を書き、描くは絵や図を描く。この違いは似ているようでアプローチも全く異なる表現なのだ。
新しい事業モデルを考えたり、価値創造を目指すイノベーションを考えたりする時、文章で書いたり箇条書きにしたりするより、漠然とした思いをラフなスケッチで表した方がしっくりと来るし、仲間との共有もしやすい。絵や図で描きあった方がイメージを共有できる。
情報システムを構想し作り上げていく時も同様だ。仕様書という文章で書き上げた機能とか非機能のリクエストより、モデリングという手法でシステム構想を描きあげた方が手順やデータのやり取りもわかりやすいはずだ。
実際の業務で使う画面遷移を描いていくやり方もある。使う立場の人がどういうコンピュータ画面の遷移で業務を処理すればよいか幹となる部分を絵で作れば、ICTの知識がなくても理解できるしBPRも進む。
価値創造には描くことが大切で、これがデザイン思考へと進んで行くのである。

デザイン思考の重要さ
最近「デザイン」という言葉が経営やICT分野でよく使われるようになってきた。例えば「デジタルデザイン経営」、「デザイン・マネジメント」、「経営をデザインする」、「デザイン×技術」、「デザインイノベーション」、「システムデザイン思考」などである。
ではデザインとは何か? Wikipediaには次のような記述がみられる。
『デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。』
ようやく経営やシステム作りにデザイン思考が必要であることが認知されてきたようである。筆者は子供の頃からデザインやアートが好きだった。社会に出てからは長く土木構造物の設計に携わってきた。事業部門から情報部門の統括に移った時、最初の2ヶ月はデザインに没頭した。全社の情報システムをどうすればよいかを思考し、絵や記号で描きつけながら組み立てていった。その手順は土木構造物と対象が異なるだけで変わりはない。それが再構築を成功させることができた所以だと思う。デザインの力を見直す必要がある。

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