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リアルデータ活用で強み活かせ
2030年メド プラットフォーム形成がカギ

 昨年9月以来、8回の会合を積み重ねてきた産業構造審議会新産業構造部会(部会長・伊藤元重学習院大教授)は、4月27日、中間報告をとりまとめ、いわゆる“新産業構造ビジョン”(中間整理)として発表した。

この部会は、IoT(インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータ、ロボット、AI(人工知能)などの大きなインパクトのある技術革新により、今世界では第4次産業革命が起きようとしている。わが国はその動きをいち早く捉え、世界をリードしていく「羅針盤」としての基本戦略のとりまとめを、主なミッションとしている。
まず、基本認識として、第4次産業革命への対応は、欧米がいち早くバーチャルデータをめぐるデータ競争の第1幕でリード、GAFA(グーグル、アップル、フェースブック、アマゾン)が大規模なプラットフォームを形成し、大きく水をあけられてしまっている。
次に、現場の「リアルデータ」でのデータ競争の第2幕では日本が競争優位の強みを発揮できるとして、わが国が取り組むべき基本戦略について、7つの対応方針を示した。未来社会に向けた経済社会システムの再設計と題し、まず第1にデータ利活用に向けた環境整備を上げている。
「第4次産業革命では『データ』の利活用が付加価値の源泉になる。健康情報、走行データ、工場の稼動データなどのリアルデータをうまく活用すれば、日本でプラットフォームが獲得できる可能性が高い」。
そのためには、各企業の機密情報となるデータを協調領域と競争領域に峻別し、枠を超えてデータを共有・活用していくプラットフォーム形成が鍵を握っている。具体的には、スマート工場先進事例やIoTを活用した産業保安、自動走行地図の実用化などに取り組むという。
第2には、人材育成・獲得。雇用システムの柔軟性向上、第3にはイノベーション・技術開発の加速化(「Society5.0」)第4にはファイナンス機能の強化、第5には産業構造・就業構造転換の円滑化、第6に第4次産業革命の中小企業、地域経済への波及、第7に第4次産業革命に向けた経済社会システムの高度化を上げている。
今回の基本戦略では、「今、日本は別れ目にある」し、今回の方針による変革シナリオと現状放置シナリオの2つを対比させ、2030年までの姿を明らかにしている。
まず、産業・雇用の縦割りを温存した現状放置シナリオでは、わが国産業が海外のプラットフォーマーの下請けに陥り、付加価値は海外に流出。新たなサービス付加価値を生み出せず、低付加価値・低成長・低賃金の多い社会になる。2030年までの名目成長率は1・4%、賃金上昇率も2・2%増にとどまる。
一方、産業・雇用の転換・流動化を図る変革シナリオを実行すれば、新しいサービスが生まれ、グローバルに高付加価値・高成長により、労働力減少を克服。名目成長率も2・5倍の3・5%と伸び、賃金も3・7%上昇、名目GDFPは846兆円になると試算している。「痛みを伴う転換をするか、安定したジリ貧を取るか?転換するならスピード勝負」と戦略は伝えている。

第4次産業革命による就業構造改革の姿(イメージ)

第4次産業革命による就業構造改革の姿(イメージ)

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