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日本の為替介入に警戒感

「通貨戦争の熱気高める」
―日本を見る世界の眼 ―5月―

この時期の海外論調は、本年1-3月期のわが国のGDP(速報値)が年率1.7%と予想を上回る結果となったにもかかわらず、安倍政権の経済政策であるアベノミクスの効果が疑問視される中、円高基調となっている為替動向に注目が集まり、安倍政権が金融政策に限界を感じ、為替介入を行うのではないかとの警戒感が表面化する結果となった。
5月4日付けのフィナンシャルタイムズは、4月下旬に米財務省が「2015年貿易円滑化及び権利行使に関する法律」に基づき、為替操作国になり得る存在として中国、日本、韓国、台湾およびドイツが挙がり、監視リスト化していることに注目している。
この動きは、「いわゆる通貨戦争の熱気を高めるもの」であり、中国と日本の反応が注目されるとしている。今後は、詳細な分析や2国間における取り組みの強化が行われ、それでも安すぎる為替レートや貿易黒字への対策が講じられなければ是正措置が発動され、米国が日本や中国を監視リストで指定し、為替介入をけん制してきたことで、日本、中国が取り得る金融政策オプションが限られてくるとの見方を示した。
また、同紙は為替介入という手段は他の政策手段ではうまくいかないという場合にのみ使われるべきであるとし、現在も続いている日銀による金融緩和について発作的な動きであると批判している。さらに、日銀の黒田総裁は市場を気にするのではなく、圧倒的な破壊力で景気停滞とデフレの脅威に対処すべきであると主張している。
また、安倍首相の消費増税を巡る一連の発言はあいまいなものであり、景気てこ入れのために公的資金を投入することに対する断固たる姿勢は見られないと厳しい見方を示し、財政と国内の金融政策を捨てて古い通貨介入というゲームに戻るべきではなく、日本はG7サミットで、「兵器庫にあるすべての武器を使い切る」覚悟が必要であると主張している。
5月14日付ウォールストリートジャーナルは、「日本経済にとって最も心配なことはアベノミクスの行方」であるとし、最近の円高傾向は無視できないレベルに達しているとの見方を示した。そもそも円安はインフレを起こし異次元の金融緩和で経済を再生するための、アベノミクスと日銀にとっての鍵であったが、この前提が崩れることは日本が為替介入に踏み切る口実となり、通貨安戦争を始まるのではないかとの危惧を示した。

 

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