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一時、国際金融市場が大混乱
EUは厳しく対応、ドミノ連鎖防ぐ

 英国の国民投票による EU離脱が、世界を大きく混乱させ、国際金融市場は一時、リーマンショックを上回る下げ幅を記録した。当の英国自体も「この決断は失敗であった」とする「残留」支持派が再度、国民投票を求めて署名を集めているが、現実的には不可能である。

今回の原因は、EU「残留」を支持するエリート層とエスタブリッシュ層と、移民反対、EUからの独立を叫ぶ「離脱派」による争いであり、口当たりの良い「離脱派」の甘言に乗った英国国民は6月23日を「英国衰退記念日」と記憶するであろう、最悪のシナリオに乗ってしまった。
キャメロン首相の無謀な賭けは、自身が辞任するくらいでは済まない問題が孕んでいる。1つは、今後英国は2年以内にEU離脱の手続きを行わなければならない。と同時に、EU各国それぞれと改めて貿易協定を結び直さなければならない。
2つめは、元々EU残留支持であるスコットランドや北アイルランドの英国からの独立の機運に対し、油を注いだ形になったこと。
3つめは、移民を規制し、海外投資が抑制される中で、EU市場に50%依存してきた英国企業が高関税となる状況で競争力が落ちていくのは確実で、離脱して失業者が増え、外国企業の撤退で働く場所も減少する。
離脱派のリーダーであった、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、「EUから離脱すると、毎週EUに拠出していた3億5000万ポンド(約480億円)が公的医療制度に充てられる」と言った運動公約は、間違いであると認め、次期首相候補からも退場した。
EUではデンマーク、オランダ、フランスでも右派が台頭し、EU離脱を叫んでおり、EUはドミノ倒しになるのを防ぐため、矢継ぎ早に英国にEU離脱手続きを急がせ、EUの結束力を高めようと必死だ。
さらに、EUを離脱し、自由貿易と移民制限という英国の自国のみの「いいとこ取り」を許さない強い姿勢を見せており、国際金融市場はようやく落ち着きを取り戻しつある。しかしポンドはこの間、11%の下落を記録している。
日本企業は英国に1000社ほどが進出しているが、今後戦略を大幅に変更せざるを得ない状況だ。英国は国民がポピュリズム(大衆迎合主義)に振り回された挙句、後戻りできないイバラの道を歩むことになる。

EU加盟国と加盟年

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