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トランプ・ショックと日本の進むべき道

米大統領選挙の結果に、全世界中が右往左往している。日本は株価が1000円近く下がったと思ったら、就任後のトランプ次期大統領のスピーチに安心したのか、米国の株価が市場最高値を更新すると、日本の株価も持ち直し、円高基調から円安へ触れ出し一安心といったところだ。

飛んだトランプ旋風が吹き荒れた1週間であったが、米国の中部地域に暮らしている中産階級の人々に、ヒラリー・クリントンを始めとするお金持ちエスタブリッシュ層に対する反発が強く選挙結果をみると、よくわかる。はっきり、都会と地方で票が割れ、新しい南北戦争が起きるくらい米国の世論は2分されてしまった。

選挙前からの公約で、トランプ氏もヒラリー氏もTPP(環太平洋パーナーシップ協定)には反対を表明してきていた。米国が加わらなければ、TPPそのものの成立が難しくなる。そんな状況にもかかわらず、TPP法案を強行採決する現与党のセンスのなさ、継続審議とするなど、臨機応変に対応ができないわが国の国会の古めかしさが際立ってしまう。

今後のトランプ次期大統領の対日要求の中で、駐留米軍の防衛負担の大幅な増大の要求を求めてくるのは間違いない。そもそもスキャンダルを抱えた両大統領候補のどちらかを選ばなければならない位、米国のレベルは落ちてきており、これはイアン・ブレマーの言うとおり「パックス・アメリカーナの終焉」なのであろう。

世界中のトップが自国第1主義のナショナリズムに走るのは、グローバル化した経済が決して自国民にとって幸せでないことの共通理解が、英国の大衆をしてEU離脱を選択してしまう時代なのである。

米国は当面、自国の経済安定、復興と財政再建に走るであろうから、日本は戦後70年の分水嶺として、米国の駐留軍を大幅に削減し、自主防衛、自主外交、自主独立路線で米国とのしがらみを少しずつ解消していく好機と捉える必要がある。

TPPに加盟しない中国はこの間、TPP参加の12カ国のうち8カ国と個別にFTAを結んでしたたかな外交を行っている。日本もいつまでも米国顔色を伺う外交から、独自のしたたかな外交路線を歩むべきときに来ている。

(本紙編集主幹)