政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


イノベーション(1)

ポイント:
① 新しい時代(ナチュラルタイムズ)の要請に合わせたイノベーションが必要だ。
② 世界を驚かす技術革新だけがイノベーションではない。プロセスイノベーション、ビジネスモデルイノベーション、日本的経営イノベーションが再度見直され、これからは、アテンションイノベーションとイシイノベーションが日本復活の鍵を握る。
③ 大企業や開発型企業だけでなく420万社の日本企業が、イノベーションの対象である。
④ イノベーション能力は、教育によって向上できる。
   
1.時代が変わった!
 技術革新が、特にインターネットと周辺技術の飛躍的な進歩により、今まで考えられなかった多様な影響を社会に与えている。
 振り返ってみると、1980年代にジャッパン・アズ・ナンバーワンと言われた日本の製造業の成功の裏には、品質管理手法の普及に加え、飛躍的に発展したIT技術の活用による産業ロボット技術を始めとした生産工程の情報管理の進展とその徹底があった。

 
 図1:激変する環境

一方消費者志向や行動は、従来の「1.衣食住」(イ・ショク・ジュウ)に象徴される生活向上志向や機能重視型消費から、バブル経済時代には、人と違うモノで着飾って充足される「2.異飾充」(イ・ショク・ジュウ)がキーワードの高級志向やバブル経済型消費に移行していた。
 しかし、その後のバブル経済崩壊以降のいわゆる失われた10年・20年を経て、更に地球環境の変化や自然災害に目覚めた今の顧客そしてこれからの顧客の消費志向や行動は大きく変化している。言わば、自分の意思で自然に触れて自由に行動したいという「3.意触柔」(イ・ショク・ジュウ)と表現すべき個性志向・健康志向・環境重視等の思考を最優先し、感性に合わせたサーファー型消費や癒し型消費、そして自然回帰型消費が幅をきかせるようになった。
 これからは、顧客は自らに目覚め、生活者としての存在を徹底的に主張していくだろう。
  このような消費者行動の底流に流れる本質は何なのだろうか?

2.真実は価値基準の変化!
 明らかに、図に示した様に、日本人が生きることを見直す切っ掛けとなった東日本大震災を経て、侵蝕され畏れおののき重い経験の結果を示す「畏蝕重」(イ・ショク・ジュウ)の時代が、重なって到来している様に見える。
日本人は、新しい満足を求めて動き出した。華美を求める顧客満足志向は陰を潜め、地に足が着いた生活者満足へと一つ上の段階に上がったように見える。自然との共生志向や癒し型消費は、価値基準が「3.意触柔」+「4.畏蝕重」へと変化した結果と言えるのではないだろうか。
 しかし、もう一つ真実の要因が存在する。それは、インターネットとその周辺技術の飛躍的な進展である。時間と空間を一気に縮めた新しい技術革新は、世の中を大幅に変えつつある。
 それは、技術のイノベーションが世界のあらゆる事象に影響を与え、「ビジネスモデルやプロセスのイノベーション」を誘起した社会現象のように見える。
 ITの進歩が全てを変え始めた。時代が変わると、社会システムに大きな変化を与える。インターネットとその周辺技術の飛躍的な進展は、従来の仕組みや手法・経営方法・考え方に連鎖的な打撃を加え、それぞれに新たな価値観・仕組みを創出するトリガーとなった。
 それは、顧客の立場を超えた生活者としての価値基準が大きく変化したことを意味している。
 経営の場に目を移せば、この価値観を実践するために、世界の競争に対抗しつつ、機械システムに頼らずチャールズ・チャップリンのモダンタイムズ(人間が機械の歯車になっていることを比喩した時代)の世界ではない、社会システムをベースに環境や人に優しい言わば自然に回帰したナチュラルタイムズ(人間的な生活を取り戻そうとする現代)の世界を目指すことだろう。
 このような論理で見ると、新しい価値基準の日本的経営のイノベーションの必要性が高い事が理解できる。ITイノベーションに裏付けされたプロセスイノベーション、ビジネスモデルイノベーション、日本的経営イノベーションが再度見直され、これからは、アテンションイノベーションとイシイノベーションが日本復活の鍵を握る。
                                (第1回 了)
 

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