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エクサスケールの衝撃

エクサスケールの衝撃

第21回
『エクサスケールの衝撃』
~次世代スーパーコンピュータが壮大な新世界の扉を開く
齊藤元章 著/PHP研究所 刊/3,000円(税別)

超高速コンピューティングが実現する
「不労」「不老」の“バラ色の未来”

最先端のコンピュータ科学は我々一般人の想像を絶するレベルにまで達しているらしい。スーパーコンピュータの開発競争の話だ。
2011年に世界一に認定されたスーパーコンピュータ「京」のプロセッサは8個のコア(汎用の論理演算処理を行う最小単位)をもっていた。ところが本書の著者の関わるプロジェクトで開発された半導体は、なんと1024コア。これがわずか数年の成果なのだから驚くほかない。
20年ほど前、会社や家庭で使われ始めていたPCのメモリや記憶容量の単位は「メガ」だった。今ではメガはほとんど使われない。「ギガ」であり、ハードディスクに関してはもはや「テラ」が当たり前に。
1024コアの性能を表わす単位は「エクサ」だ。テラの1000倍がペタ、さらにその1000倍がエクサである。本書が描くのはエクサ単位の超高速処理「エクサスケールコンピューティング」が実現する未来予想図だ。
それはまさしく「バラ色の未来」。誰も衣食住で困ることなく、働く必要のない「不労」が実現。貨幣経済も役割を終えている。さらに人類は「不老」にまでいたるという。
だが、これはあくまで科学技術のポテンシャルだ。何の利益相反もなく、皆がポジティブな考えのもと譲り合い、優れた科学技術がまっすぐに生かされて初めて出現する未来だ。現実はおそらくそうはいかない。
本書の内容が妄想だと言っているわけではない。条件さえ整えば実現可能であることは確かなのだ。実現を邪魔しているものは何か。それを考えるための「警鐘の書」として読みたい。(情報工場編集部)

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