政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


VWのディーゼルエンジン車は米国の規制で最大40倍のNOx(窒素酸化物)を排出していた。同社では米国の厳しい排ガス規制を逃れるため、排ガス試験の際、運転パターンを検出すると、試験対策用の専用プログラムを働かせ、優良な試験結果を示すようにセッティングされていた。これを10年以上続けていたようだ。
このようなプログラムは、どの自動車メーカーもテスト合格用に組んでおり、問題は路上走行時にはプログラムを全く変更していた点だ。しかし、どの自動車メーカーも試験モードプログラムを運転モードにまで完璧には使用していない。というのも実販売の時点で完璧な試験モードでは価格や動力性能で劣ってしまうため、ある程度のレベルで抑えているという。
ディーゼル車はエンジン内で酸素を圧縮、高温になった酸素に軽油を噴きこみ燃焼させる。その際、NOxや粒子物質(PM)が発生する。そこで、触媒を使いNOxを吸収させたり、排ガスで出たPMをもう一度、エンジン内に戻し、燃焼させて処理している。しかし、環境性能を上げようとすると燃費が悪くなったり、燃費を良くしようとすると、触媒の働きが弱くなり、より多くのNOxを出してしまう、相矛盾する課題を抱えていた。
特に、米国市場はVWにとって、低速で巡航する「クリーンディーゼル」に向いた市場であったが、シェアが9%台とずっと低迷しており、規制のクリアに焦ったのではないかと経営陣の関与が疑われている。
この問題の噴出で、クリーンディーゼルを言われてきたディーゼル車販売に大幅なブレーキがかかるのは間違いない。VWは車の価値を下げたことにより、多くの消費者から訴訟を受けることになる。ポルシェ博士が産んだ名門の自動車メーカーが瀕死の重態であることは間違いなく、他の自動車メーカーに飛び火しないことを願うばかりだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">