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積水化学工業㈱経営管理部 情報システムグループ長 寺嶋一郎氏

積水化学工業㈱経営管理部 情報システムグループ長 寺嶋一郎氏

情報化月間で経産大臣表彰を受けた積水化学工業

 2015年の経産省の情報化月間において、企業部門の経産大臣表彰を受けた積水化学工業。住宅も含む製造業であり、売上高は1兆1127億円を超える。しかし、そのIT投資の割合は0.7%で収まっている。今回は、全社情報基盤Smileをクラウド化し、ハードの更新をせずにグローバル対応が図れた秘訣を同社のコーポレート情報システムグループ長の寺嶋一郎氏に聞いた。

「当社はカンパニー制をとっており、各事業のITシステムはそれぞれのIT部門が担当し、我々コーポレートのIT部門は基幹システム、複数カンパニー間での仕組み、ITガバナンスを担当している。
以前、子会社がERPパッケージを導入したがうまく動かず、2000年頃から“プログラムよりデータを大事にしようと”マスターデータの統合を泥臭く進めてきた。
2万人超の従業員の90%が子会社に分散していたため、情報共有や経営の「見える化」を目的に、情報をデータウェアハウスに集約し、経営情報を横断的に可視化しきた。当社にはAI(人工知能)を中心に住宅システム開発していた情報子会社と基幹システムの運用を中心にしてきた情報子会社が2社あったが、彼らが開発した共通の会計や受発注システムのプログラムを現在のNTTデータセキスイシステムズ(旧情報子会社2社をNTTデータと提携した関連会社)で運用していく仕組みになっている。
ERPやパッケージをなぜ使わないかというと、日本の企業の「改善文化」に合わないからだ。またライセンス料やバージョンアップ費がかさむため、グループ会社は利用をためらうことが多い。
様々な情報の見える化のために導入したグループウェア(全社情報基盤Smile)も自社開発した。ポータルサイト、電子メール、掲示板・会議室予約、文書管理などは全てOSSで内製化し、開発言語にはPerlを使用した。
今回表彰された理由は、アジア、欧米に広がってきた海外事業との情報共有のため、Smileをクラウド移行させ、グローバル対応を図ったことと、OSSを活用してユーザ主導のシステム開発をしてきた事だと思う。アジアはともかく、欧米のITシステムはパッケージを使いこなしていていまさら日本のシステムが入れられない。本社と情報共有できればと考え、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)であるAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を導入することでグローバル化の推進につながれば と思い移行した。
オンプレミスやSaaSも検討したが、毎年数十台のグループウェアサーバ群を更新する必要があり、このプロジェクトの生産性のなさに嫌気がさしIaaS移行に踏み切った。
この結果、1つは生産性ゼロのハードウェア更新作業がなくなり、2つめはメールボックスが20倍化(2GB)し、アーカイブ機能もつくなど、機能向上も図れた。オンプレミスでBCP対応を行うと2倍のコストがかかったはずだが、現状のコストで機能が大幅にアップした上に、BCP対応も出来た。3つめはハード投資が要らずアジャイル開発が出来るため、新機能を次々Smileに試せる、などの成果が現れた。
生産性ゼロの更新作業から開放され、最先端のクラウド環境で新機能開発に注力できるため、エンジニアのモチベーションは大いに上がっています。これでオンプエミスの西日本DCと東日本の災対DCに加えクラウドのデータセンターが出来、次のインフラ戦略が見えてきた。
IaaSはグローバルに展開するエンタープライズにとって、次世代のインフラとして絶好のサービスとなる。オンプレミスのデータセンターと同じであり、サーバー運用、監視システムなど通常のデータセンターと同じことが出来れば、BCP対応やスケールアウトが簡単に出来るクラウドデータセンターとなる。
セキュリティ対応も本質対策は機器ではなく人であり、契約をしっかり行えばクラウドサービスのリスクは少ないと言える。グローバル化への対応も徐々進んでいることからグローバルに標準化を推し進めていこうと考えている。
今後は、当社の新中期計画「SHINKA!-Advance2016」を支える、サスティナブルで強固な情報システムの構築・維持に向け、コスト削減・リスク低減、情報活用を実現しながら、内外問わずグローバルな全社情報システムの標準化と基盤強化を推進して行くつもりだ。

 

全社情報基盤(Smile)の構築経緯

全社情報基盤(Smile)の構築経緯

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